平成26年度
つくば市公営企業会計
決
算
審
査
意
見
書
2
7
監
第
7
0
号
平成27年8月10日
つくば市長
市
原
健
一
様
つくば市監査委員
山
内
豊
つくば市監査委員
宮
本
孝
男
つくば市監査委員
金
子
和
雄
平成26年度つくば市公営企業会計決算審査意見について
目
次
第1 審査の概要 1
1 審査の対象 1
2 審査の期間 1
3 審査の方法 1
第2 審査の結果 1
水道事業会計
1 業務実績について 3
2 予算執行状況について 4
3 経営成績について 6
4 財政状態について 10
5 財政状態に関する主な経営指標について 14
6 資金収支(キャッシュ・フロー)の状況について 14
7 むすび 17
資料 19
病院事業会計
1 業務実績について 23
2 予算執行状況について 24
3 経営成績について 25
4 財政状態について 28
5 むすび 31
凡 例
1 文中の金額は,原則として千円単位で表示した。
2 金額は,単位未満を四捨五入した。このため,合計額又は差額が一致しない 場合及び合計額又は差額を調整した場合がある。
3 本文中で用いている比率(%)は,原則として小数点以下第2位を四捨五入 し,第1位までを表示した。また,本来整数であるものは,整数で表示した。 4 増減率については,次式により算出した。
(当年度の計数-前年度の計数)÷前年度の計数の絶対値×100 5 文中及び表中に用いた符号等の用法は,次のとおりである。
「0.0」 ・・・当該数値はあるが,表示単位未満のもの
「- 」 ・・・該当数値のないもの,算出不能又は無意味なもの 「△ 」 ・・・負数又は減数
平成26年度つくば市公営企業会計決算審査意見
第1 審査の概要
1 審査の対象
平成26年度つくば市水道事業会計決算 平成26年度つくば市病院事業会計決算
平成26年度各事業会計決算に関する証書類,事業報告書及びその他の決算附属書類
2 審査の期間
平成27年6月23日から平成27年8月4日まで
3 審査の方法
審査に当たっては,決算書類及び証書類,事業報告書その他の決算附属書類が適法 に作成され,かつ,経営成績及び財政状態を適正に表示しているかどうかを検証する ため,会計帳票,証拠書類との照合等のほか,関係職員の説明を求め実施した。
また,各事業の経営内容を把握するため,計数の分析を行い,経済性の発揮及び公 共性の確保を主眼として考察した。
第2 審査の結果
審査に付された各事業の決算書類及び証書類,事業報告書その他の決算附属書類は, 地方公営企業法及び関係法令の規定に準拠して作成されており,おおむね適正であっ た。
水道事業会計
1 業務実績について
当年度の業務実績を前年度と比較すると,次表のとおりである。
(注1) 有収水量とは,配水量のうち料金収入を得ることができた水量を表す。 (注2) 有収率とは,年間総配水量に対する年間総有収水量の割合を示す。水道事業
の施設効率を判断する指標であり,数値が大きいほど効率的である。
当年度末の給水戸数は81,968戸で,前年度に比べ2,786戸(3.5%)増加し,給水人口 は187,218人で,前年度に比べ4,789人(2.6%)増加している。
年間総配水量は22,022,929㎥で,前年度に比べ202,394㎥(0.9%)減少し,このうち, 料金対象の年間総有収水量も20,203,249㎥で,前年度に比べ173,883㎥(0.9%)減少し ている。有収率は91.74%で,前年度を0.06ポイント上回っている。また,導・送・配 水管の総延長は1,324.9kmで,前年度より2.3%増加している。
項 目 単位 26年度 25年度
対前年度比率
増 減 増減率(%) 給 水 区 域 内 人 口 人 221,150 219,093 2,057 0.9 給 水 人 口 人 187,218 182,429 4,789 2.6
普 及 率 % 84.7 83.3 1.4 ―
給 水 戸 数 戸 81,968 79,182 2,786 3.5 配 水 能 力 ㎥ 103,400 103,400 0 0 導・ 送・ 配水管延長 ㎞ 1,324.9 1,295.0 29.9 2.3 年 間 総 配 水 量 ㎥ 22,022,929 22,225,323 △202,394 △0.9 県 水 受 水 量 ㎥ 21,690,190 21,856,670 △166,480 △0.8 自 己 水 源 ㎥ 332,739 368,653 △35,914 △9.7 年 間 総 有 収 水 量 ㎥ 20,203,249 20,377,132 △173,883 △0.9 有 収 率 % 91.74 91.68 0.06 ― 一 日 平 均 配 水 量 ㎥ 60,337 60,891 △554 △0.9 一 日 最 大 配 水 量 ㎥ 68,843 69,878 △1,035 △1.5 総 職 員 数
人
38 39 △1 △2.6
2 予算執行状況について
予算額に対する決算額の割合及び前年度との比較は,次表のとおりである。
(1) 収益的収支
ア 収益的収入
(単位:円)
(注) この数値は,消費税込みである。
予算現額4,900,994千円に対して決算額は4,905,870千円(執行率100.1%)で, 4,876千円の増となっている。この主な要因は,加入金の増加によるものである。
執行率は前年度を0.6ポイント上回っている。
イ 収益的支出
(単位:円)
(注) この数値は,消費税込みである。
予 算 現 額 5 , 0 3 0 , 7 6 2 千 円 に 対 し て 決 算 額 は 4 , 9 1 0 , 9 7 1 千 円 ( 執 行 率 9 7 . 6 % ) で , 119,791千円の不用額が生じている。不用額の主なものは,原水及び浄水費の受水費, 配水及び給水費の修繕費などである。
執行率は前年度とほぼ同率である。
区 分
予算現額 決算額 執行率(%) 26年度 25年度 26年度 25年度 26年度 25年度 営業収益
3,993,251,000 3,897,182,000 4,001,500,817 3,873,740,719 100.2 99.4 営業外収益 907,743,000 421,990,000 904,369,016 422,307,807 99.6 100.1 合 計 4,900,994,000 4,319,172,000 4,905,869,833 4,296,048,526 100.1 99.5
区 分
(2) 資本的収支
ア 資本的収入
(単位:円)
(注) この数値は,消費税込みである。
予算現額852,559千円に対して決算額は802,919千円(執行率94.2%)で,前年度に 比べ163,381千円減少している。この主な要因は,企業債以外は増加したものの,企 業債の発行額が大幅に減少したことによるものである。
執行率は前年度を10.3ポイント上回っている。
当年度の企業債350,000千円については,前年度に比べ310,300千円(47.0%)減少 しており,内訳としては,建設改良のための借入350,000千円となっている。
イ 資本的支出
(単位:円)
(注) この数値は,消費税込みである。
予算現額2,340,875千円に対して決算額は2,034,752千円(執行率86.9%)となって いる。この差額306,123千円のうち,179,658千円は
翌年度への
予算繰越であり,TX区 分
予算現額 決算額 執行率(%) 26年度 25年度 26年度 25年度 26年度 25年度 負 担 金 37,390,000 30,895,000 33,658,588 22,745,294 90.0 73.6 企 業 債 350,000,000 660,300,000 350,000,000 660,300,000 100.0 100.0 国庫補助金 208,320,000 235,113,000 204,025,000 173,581,000 97.9 73.8 分 担 金 256,848,600 225,418,000 215,235,560 109,674,096 83.8 48.7 合 計 852,558,600 1,151,726,000 802,919,148 966,300,390 94.2 83.9
区分
予算現額 決算額 執行率(%)
26年度 25年度 26年度 25年度 26年度 25年度 建設 改良 費 1,276,347,650 1,195,835,000 981,025,409 952,554,978 76.9 79.7
企業債償還金 1,053,727,000 1,365,341,000 1,053,726,660 1,365,340,705 100.0 100.0
予 備 費 10,800,000 10,500,000 0 0 0 0
沿線開発地区等の造成スケジュールの延伸による繰越分となっている。残り126,465 千円が不用額となっている。
執行率は前年度を3.2ポイント下回っている。
企業債償還金については,前年度と比べ,311,614千円(22.8%)減少しているが, 未償還残高は減少傾向にある。
また,資本的収支において不足する額は,過年度分損益勘定留保資金,当年度分消 費税及び地方消費税資本的収支調整額で補填している。
不足額及び補填内訳は次表のとおりである。
(単位:円)
3 経営成績について
総収益4,626,806千円に対し,総費用は4,665,726千円で,差引純損失は38,920千円と なり,当年度においても赤字となったが,前年度における純損失339,731千円と比較す ると,300,812千円減少している。この主な要因は,会計基準の見直しに伴い,収益及 び費用とも増加しているが,収益の増が費用の増を上回ったことによるものである。
給水原価と供給単価についてみると,有収水量1㎥当たりの給水原価は229.6円,供 給単価は164.1円で,給水原価が65.5円上回っている。
収益,費用の状況を前年度と比較すると,次表のとおりである。
区 分 金 額
資本的収入額 (ア) 802,919,148
資本的支出額 (イ) 2,034,752,069
不足額 (ア)-(イ) △1,231,832,921 補填
内訳
過年度分損益勘定留保資金 1,198,046,512
区 分 26年度 25年度
対前年度比率
増 減 増減率(%)
1 総 収 益 4,626,806,162 4,113,875,909 512,930,253 12.5
(1) 営業収益 3,723,184,677 3,691,882,147 31,302,530 0.8
(2) 営業外収益 903,621,485 421,993,762 481,627,723 114.1
2 総 費 用 4,665,725,907 4,453,607,393 212,118,514 4.8
(1) 営業費用 4,306,004,737 4,089,017,040 216,987,697 5.3
(2) 営業外費用 337,042,322 359,469,369 △22,427,047 △6.2
(3) 特別損失 22,678,848 5,120,984 17,557,864 342.9
損 益 △38,919,745 △339,731,484 300,811,739 △88.5 (単位:円)
(注1) 一般会計からの補助金が,営業外収益に平成26年度397,552千円含まれている。 (注2) この数値は,消費税抜きである。
(1) 収益の状況
総収益は,前年度に比べ512,930千円(12.5%)増加しており,収益の構成をみる と,営業収益が80.5%,営業外収益が19.5%となっている。
ア 営業収益
営業収益は3,723,185千円で,前年度に比べ31,303千円(0.8%)増加している。 主 な 要 因 は , 収 益 の 根 幹 で あ る 給 水 収 益 ( 水 道 料 金 収 入 ) が , 当 年 度 は 3,314,450千円で,前年度に比べ28,979千円(0.9%)減少しているものの,加入金 が56,215千円(26.5%)増加したためである。
イ 営業外収益
営業外収益は903,621千円で,前年度に比べ481,628千円(114.1%)増加してい る。主な要因は,会計基準の見直しに伴い,長期前受金に計上した未償却相当額の うち,当年度償却分を長期前受金戻入として482,345千円計上したことによるもの である。
(2) 費用の状況
総費用は,前年度に比べ212,119千円(4.8%)増加しており,費用の構成をみると, 営業費用が92.3%,営業外費用が7.2%,特別損失が0.5%となっている。
当金繰入額の計上と減価償却費の増加によるものである。
ア 営業費用
営業費用は4,306,005千円で,前年度に比べ216,988千円(5.3%)増加している。 増加した主なものは,会計基準の見直しに伴う減価償却費210,581千円(18.0%), 賞与引当金繰入額及び法定福利費引当金繰入額の計上24,761千円(皆増)などであ る。
イ 営業外費用
営業外費用は337,042千円で,前年度に比べ22,427千円(6.2%)減少している。 減少した主なものは,支払利息336,405千円で,22,549千円(6.3%)の減少となっ ている。
ウ 特別損失
特別損失は22,679千円で,前年度に比べ17,558千円(342.9%)増加している。 主な要因は,前年度分6月賞与及び法定福利費相当額の手当20,068千円をその他 特別損失に計上したことによるものである。
(単位:円)
(注1) 決算附属書類の収益費用明細書より算出した数値である。 (注2) この数値は,消費税抜きである。
(3) 損益の状況
当年度は,総収益に含まれる一般会計からの企業債利子償還負担分である他会計補 助金397,552千円を除いた独立採算ベースでの損益では,436,472千円の純損失である。
前年度を同様に算出すると737,283千円となることから300,811千円赤字が減少して い る 。 ま た , 会 計 基 準 の 見 直 し に よ り 発 生 し た そ の 他 未 処 分 利 益 剰 余 金 変 動 額 8,284,374千円を前年度繰越欠損金5,858,331千円の補填に充当し,その結果,当年度 末の未処分利益剰余金は2,387,123千円となっている。
なお,最近3か年の収益と費用を比較すると次表のとおりである。 項 目
26年度 25年度 対前年度比率
金額 構成比 金額 構成比 増減 増減率(%)
職員給与費 298,726,564 6.4 308,842,659 6.9 △10,116,095 △3.3
支払利息 336,404,990 7.2 358,953,723 8.1 △22,548,733 △6.3
減価償却費 1,378,996,693 29.5 1,168,416,029 26.3 210,580,664 18.0
動 力 費 134,916,275 2.9 126,367,476 2.8 8,548,799 6.8
光熱水費 316,545 0.0 334,916 0.0 △18,371 △5.5
通信運搬費 17,152,353 0.4 16,682,243 0.4 470,110 2.8
修 繕 費 115,019,303 2.5 106,362,681 2.4 8,656,622 8.1
薬 品 費 7,183,550 0.2 6,663,130 0.1 520,420 7.8
委 託 料 223,119,534 4.8 219,872,086 4.9 3,247,448 1.5
受 水 費 2,059,658,550 44.1 2,067,150,150 46.4 △7,491,600 △0.4
そ の 他 94,231,550 2.0 73,962,300 1.7 20,269,250 27.4
(単位:円,税抜き)
4 財政状態について
当年度末における財政状態を前年度と比較すると,次表のとおりである。
資産の部
(単位:円)
項目 26年度 25年度 増減 比率(%) 1 固定資産 35,364,849,025 37,723,103,396 △2,358,254,371 △6.3 (1)有形固定資産 35,361,889,608 37,720,031,379 △2,358,141,771 △6.3 ア 土地 2,141,123,510 2,141,123,510 0 0 イ 建物 1,806,021,310 1,925,531,915 △119,510,605 △6.2 ウ 構築物 28,967,891,488 30,186,284,841 △1,218,393,353 △4.0 エ 機械及び装置 2,442,926,717 3,328,017,045 △885,090,328 △26.6 オ 車両運搬具 717,546 815,966 △98,420 △12.1 カ 工具器具及び備品 3,209,037 3,486,059 △277,022 △7.9 キ 建設仮勘定 - 134,772,043 △134,772,043 皆減 (2)無形固定資産 2,959,417 3,072,017 △112,600 △3.7 ア 施設利用権 2,721,100 2,833,700 △112,600 △4.0 イ 電話加入権 238,317 238,317 0 0 2 流動資産 3,159,914,861 3,373,106,908 △213,192,047 △6.3 (1)現金預金 1,414,354,592 1,645,423,128 △231,068,536 △14.0 (2)未収金 639,340,494 625,945,915 13,394,579 2.1 (3)貯蔵品 34,995,895 34,647,375 348,520 1.0 (4)前払費用 1,223,880 1,161,000 62,880 5.4 (5)前払金 69,400,000 64,029,490 5,370,510 8.4 (6)保管有価証券 1,000,600,000 1,001,900,000 △1,300,000 △0.1 資 産 合 計 38,524,763,886 41,096,210,304 △2,571,446,418 △6.3
区 分 26年度 25年度 24年度
総 収 益 4,626,806,162 4,113,875,909 4,109,691,822
総 費 用 4,665,725,907 4,453,607,393 4,503,414,345
純 損 益 △38,919,745 △339,731,484 △393,722,523
(注) この数値は,消費税抜きである。
負債・資本の部
(単位:円)
項目 26年度 25年度 増減 比率(%) 3 固定負債 15,140,769,110 66,558,775 15,074,210,335 著増 (1)企業債 15,074,210,335 - 15,074,210,335 皆増 (2)引当金 66,558,775 66,558,775 0 0 4 流動負債 2,622,333,885 1,427,015,017 1,195,318,868 83.8 (1)企業債 1,072,672,525 - 1,072,672,525 皆増 (2)未払金 489,907,468 391,595,923 98,311,545 25.1 (3)前受金 - 2,748,960 △2,748,960 皆減 (4)預り有価証券 1,000,600,000 1,001,900,000 △1,300,000 △0.1 (5)引当金 28,626,000 - 28,626,000 皆増 (6)その他流動負債 30,527,892 30,770,134 △242,242 △0.8 5 繰延収益 11,495,368,620 - 11,495,368,620 皆増 (1)長期前受金 22,185,233,182 - 22,185,233,182 皆増 (2)長期前受金収益化累計額 △10,689,864,562 - △10,689,864,562 -
負 債 合 計 29,258,471,615 1,493,573,792 27,764,897,823 著増 6 資本金 4,760,331,422 21,610,940,942 △16,850,609,520 △78.0 (1)自己資本金 4,760,331,422 4,760,331,422 0 0 ア 固有資本金 325,741,237 325,741,237 0 0 イ 繰入資本金 1,189,754,634 1,189,754,634 0 0 ウ 組入資本金 3,244,835,551 3,244,835,551 0 0 (2)借入資本金 - 16,850,609,520 △16,850,609,520 皆減 ア 企業債 - 16,850,609,520 △16,850,609,520 皆減 7 剰余金 4,505,960,849 17,991,695,570 △13,485,734,721 △75.0 (1)資本剰余金 2,118,837,739 23,850,026,527 △21,731,188,788 △91.1 ア 受贈財産評価額 110,718,021 1,457,875,271 △1,347,157,250 △92.4 イ 国庫補助金 263,972,201 7,564,358,824 △7,300,386,623 △96.5 ウ 茨城県補助金 - 232,895,625 △232,895,625 皆減 エ 分担金 - 2,335,974,497 △2,335,974,497 皆減 オ 工事負担金 1,611,615,708 12,120,309,921 △10,508,694,213 △86.7 カ その他資本剰余金 132,531,809 132,531,809 0 0 キ 補償金 - 6,080,580 △6,080,580 皆減 (2)利益剰余金(欠損金) 2,387,123,110 △5,858,330,957 8,245,454,067 140.7
(注) この数値は,消費税抜きである。
(1) 資産
資産総額は38,524,764千円で,その構成は固定資産35,364,849千円(91.8%)及び 流動資産3,159,915千円(8.2%)である。また,資産総額は前年度に比べ,未収金等 の増があったものの,主に会計基準の見直しによるみなし償却制度の廃止に伴い,補 助金等により取得した償却資産の減価償却累計額を一括計上した影響による建物や構 築物,機械及び装置の減があったことにより,2,571,446千円(6.3%)減少となって いる。
ア 固定資産
前年度末固定資産は37,723,103千円で,当年度取得額を加え,減価償却額及び固 定資産除却費を減じると,当年度末35,364,849千円となり,2,358,254千円(6.3%) 減少している。また,建物等の有形固定資産は35,361,890千円で,資産合計の91.8 %(前年度同)を占めている。
イ 流動資産
流 動 資 産 の 主 な も の は , 現 金 及 び 預 金 1 , 4 1 4 , 3 5 5 千 円 , 保 管 有 価 証 券 1 , 0 0 0 , 6 0 0 千円で,前年度に比べ213,192千円(6.3%)減少している。この主な要因は,未収 金が13,395千円(2.1%)増加したものの,現金預金が231,069千円(14.0%)減少 したことによるものである。
(2) 負債・資本
負債・資本の総額は38,524,764千円で,その構成は固定負債15,140,769千円(39.3%), 流 動 負 債 2 , 6 2 2 , 3 3 4 千 円 ( 6 . 8 % ) , 繰 延 収 益 1 1 , 4 9 5 , 3 6 9 千 円 ( 2 9 . 8 % ) , 資 本 金 4,760,331千円(12.4%),剰余金4,505,961千円(11.7%)である。
負債総額は,29,258,472千円で前年度に比べ27,764,898千円(著増)増加している。 これは会計基準の見直しに伴い,借入資本金に計上していた企業債を負債に計上した こ とや 繰 延 収益 の 長 期前 受 金及 び 引 当金 を 新 たに 計 上し た こ とな ど によ るも ので あ る。
ア 固定負債
固定負債の主なものは,企業債15,074,210千円である。前年度に比べ15,074,210 千円(皆増)増加しており,会計基準の見直しに伴い,返済期限が1年以降に到来 する企業債を計上したことによるものである。
イ 流動負債
流動負債の主なものは,企業債1,072,673千円,預り有価証券1,000,600千円など である。前年度に比べ1,195,319千円(83.8%)増加しており,これは会計基準の 見直しに伴い,返済期限が1年以内に到来する企業債を計上したことなどによるも のである。
ウ 資本金
資本金は,前年度に比べ16,850,610千円(78.0%)減少している。これは,会計 基準の見直しに伴う借入資本金制度の廃止によるものである。
エ 剰余金
剰余金は,前年度に比べ13,485,735千円(75.0%)減少している。これは,会計 基準の見直しに伴い,これまで資本剰余金に計上していた償却資産の取得・改良に 伴い交付された補助金等のうち,未償却相当分を負債(繰延収益)に移行したため である。また,みなし償却を適用していない資産に関する補助金等の既償却相当分 を利益剰余金に移行したことより増加した利益剰余金は,前年度までの繰越欠損金 に充当されており,当年度未処分利益剰余金は2,387,123千円となっている。
5 財政状態に関する主な経営指標
短期債務に対してこれに応ずべき流動資産が十分であるかを示す流動比率は,当年度 は120.5%と前年度より115.9ポイント,平成24年度と比較すると137.3ポイント低下し し てい る 。 また , 負債 が 自 己資 本 よ り超 過 して いな いか を示 す負 債比 率は ,当 年度 は 191.7%と,前年度より111.1ポイント,平成24年度と比較すると107.4ポイント上昇し ている。この主な要因は,会計基準の見直しに伴う影響で大幅に変動したものである。
6 資金収支(キャッシュ・フロー)の状況
ローは703,727千円の資金流失となり,その結果,当年度における資金減少額は231,069 千円で,資金期末残高は1,414,355 千円となっている。資金減少の主な要因は,企業債 の借入による収入により資金の流入があったものの,企業債償還の支出により資金の流 出が上回ったことによるものである。
当年度の資金収支(キャッシュ・フロー)の状況は次表のとおりである。
キャッシュ・フロー計算書
(平成26年4月1日から平成27年3月31日まで)
(1) 業務活動によるキャッシュ・フロー (単位:円)
当年度純損失 △ 38,919,745 減価償却費 1,378,996,693 固定資産除却費 4,476,618 貸倒引当金の増減額 600,000 長期前受金戻入額 △ 482,345,444 受取利息及び受取配当金 △ 2,245,921 支払利息 336,404,990 未収金の増減額 △ 13,994,579 未払金の増減額 98,311,545 たな卸資産の増減額 △ 348,520 引当金の増減額 24,761,000 前払費用の増減額 △ 62,880 前払金の増減額 △ 5,370,510 前受金の増減額 △ 2,748,960 その他の流動負債の増減額 △ 242,242 小計 1,297,272,045 利息及び配当金の受取額 2,245,921 利息の支払額 △ 336,404,990
業務活動によるキャッシュ・フロー 963,112,976
(2) 投資活動によるキャッシュ・フロー
有形固定資産の取得による支出 △ 910,152,861 有形固定資産の売却による収入 0 国庫補助金等による収入 419,698,009
(3) 財務活動によるキャッシュ・フロー
建設改良費等の財源に充てるための企業債による収入 350,000,000 建設改良費等の財源に充てるための企業債の償還による支出 △ 1,053,726,660
財務活動によるキャッシュ・フロー △ 703,726,660
資金減少額 △ 231,068,536
資金期首残高 1,645,423,128
7 むすび
(1) 業務実績について
給水人口は4,789人(2.6%)増の187,218人,年間総配水量は202,394㎥(0.9%)
減の22,022,929㎥,年間総有収水量は173,883㎥(0.9%)減の20,203,249㎥であり, 人口増に相反して水需要は減少の下げ止まりが見えない状況にある。
また,一日平均配水量については,節水意識の高まりなどのため,今後も減少傾向 が予想される。
有収率は91.74%であり,前年度に比べ0.06ポイント上回っている。普及率は84.7 %であり,前年度に比べ1.4ポイント上回っている。
今後も引き続き,有収率の向上に努めるとともに,給水区域における加入促進を図 り普及率の向上に努められたい。また,未整備地区の整備については,将来の財政構 造への影響を十分に考慮しながら計画的な整備を図られたい。
(2) 経営成績について
当年 度を税抜 き収支で みると, 総収益4 ,626, 806 千円 に対し, 総費用は 4,665,726 千円で,差引き38,920千円の損失である。
損失額は,前年度に比べ減少しているが,依然として供給単価に対して給水原価が 大幅に上回っていることや給水収益及び資金期末残高が減少傾向にあることから,経 営を取り巻く環境は厳しい状況が続くと考えられる。今後とも計画的な施設の整備・ 更新とサービス水準の維持向上を考慮しながら,経営の健全化に向け,的確な分析と 検討,対策の実施に努められたい。
(3) 建設改良事業について
当年度の建設改良費の決算額は,981,025千円となっている。予算額に対する執行 率は76.9%であり,地方公営企業法第26条の規定による繰越額が179,658千円生じ, 不用額は115,664千円となっている。
建設改良費の主なものは,施設整備費の716,899千円,施設改良費の255,807千円な どである。このうち施設改良費においては,2か年の継続事業として,昨年度に引き 続き,中央配水場着水井及び流入管耐震化工事を実施している。
(4) 役割と方向性について
つくば市の水道事業は,現在,つくばエクスプレス沿線関連開発地区や水道未整備 地区への給水を目的とする創設事業を推進するとともに,水質悪化地区や整備要望地 区への早期対応,老朽化した施設の改良工事などを実施している。
水需要構造は,沿線開発等における戸建て住宅や集合住宅等の小口需要者が増加す る一方,研究機関や企業等の大口需要者が,水の循環利用や地下水利用への転換等に よる水道料金の倹約や,限りある水資源への配慮等から節水意識を高めている。
また,小口需要者においても,東日本大震災以降,節水意識の浸透や,節水型の洗 濯機,水洗蛇口,シャワーヘッド等の水まわり住宅設備を中心とした節水機器が導入 される等,エネルギー排出削減意識が高揚しており,小口需要者の増加が水需要の大 幅な増加には繋がっていない状況である。
将来的には,給水区域内人口も減少に転じていくものと考えられ,大変厳しい状況 にあり,今後,水道料金収入が減少し,水道事業の運営に支障を来すことが危惧され る。
平成26年度からの「新地方公営企業会計制度」の適用により,水道事業が民間企業 会計とほぼ同一の会計基準で会計処理・決算が行われることになり,公営企業会計の 透明性の向上が図られることになった。
「未整備地区への設備投資」と「給水事業」を区分し,「給水事業」の費用を適正 な水道料金で確保することは,長期的に安定した事業を継続するために不可欠と考え る。
水道事業の経営の現状は,大変厳しい状況にあるが,水道は市民生活や経済活動に 欠くことのできない重要なインフラ(生活基盤施設)である。
資料1
財 務 分 析 表
(単位:%)
分 析 項 目 26年度 25年度 備 考
自 己 資 本 自己資本金+剰余金
1 24.1 55.4 ×100
構 成 比 率 負債・資本合計
固 定 資 産 対 固定資産
2 144.9 95.1 ×100
長 期 資 本 比 率 固定負債+資本合計 流動資産
3 流 動 比 率 120.5 236.4 ×100 流動負債
総 収 益 対 総収益
4 99.2 92.4 ×100
総 費 用 比 率 総費用
営 業 収 益 対 営業収益
5 86.5 90.3 ×100
営 業 費 用 比 率 営業費用
企業債償還額対 企業債償還元金
6 76.4 116.9 ×100
減価償却額比率 当年度減価償却費
固 定 資 産 固定資産
7 91.8 91.8 ×100
構 成 比 率 固定資産+流動資産
固定資産
8 固 定 比 率 381.7 165.8 ×100 自己資本金+剰余金
固定負債+流動負債
9 負 債 比 率 191.7 80.6 ×100
自己資本金+剰余金
企 業 債 企業債償還元金
10 31.8 40.8 ×100
料 償 還 元 金 料金収入
金
収 企業債利息
入 11 企 業 債 利 息 10.1 10.7 ×100
に 料金収入
対
す 企 業 債 元 利 企業債元利償還額
る 12 41.9 51.6 ×100
比 償 還 金 料金収入
率
職員給与費 13 職 員 給 与 費 9.0 9.2 ×100
料金収入
資料2
経 営 分 析 表
分 析 項 目 単位 26年度 25年度 備 考 一日平均配水量 1 負 荷 率 % 87.6 87.1
一日最大配水量 一日平均配水量 2 施 設 利 用 率 % 58.4 58.9
配水能力 一日最大配水量 3 最 大 稼 働 率 % 66.6 67.6
配水能力 年間総配水量 4 配水管使用効率 ‰/m 16.6 17.2
導送配水管延長
固 定 資 産 年間総配水量
5 ‰/万円 6.2 5.9
使 用 効 率 有形固定資産
給水収益 6 供 給 単 価 円/‰ 164.1 164.1
年間総有収水量
営業費用+営業外費用-受託工事費 7 給 水 原 価 円/‰ 229.6 218.3
年間総有収水量
職員一人あたり 給水人口
8 人 5,673 5,366
給 水 人 口 損益勘定所属職員数
職員一人あたり 営業収益
9 千円 112,824 108,585
資料3 財務・経営分析資料説明
分 析 項 目 備 考
自 己 資 本 総資本に対する自己資本の占める割合を示すもので,この比率が 構 成 比 率 高いほど経営が安定している。
固 定 資 産 対 固定資産の調達が長期資本の範囲でまかなわれているかを示し, 長 期 資 本 比 率 低いほど安定性が高く100%以下が望ましい。
短期債務に対し,これに応ずべき流動資産が十分あるか否かを示 流 動 比 率
しこの比率が200%以上が望ましい。
総 収 益 対 総収益と総費用を対比したものであり,収益と費用の総対的な関 総 費 用 比 率 連を示すものである。
営 業 収 益 対 業務活動によってもたらされた営業収益と,それに要した営業費 用とを対比して業務活動の能率を示すものであり,これによって 営 業 費 用 比 率 経営活動の成否が判断されるものである。
企 業 債 償 還 額 対 企業債償還額とその主要償還財源である減価償却を比較したもの 減 価 償 却 額 比 率 である。
固 定 資 産 総資産に対する固定資産の占める割合で,固定資産構成比率が大 であれば,資本が固定化の傾向にあるので,流動性を保つには, 構 成 比 率 比率が小さいほどよい。
固定資産は自己資本によって賄われるべきであるとする企業財政 固 定 比 率
上の原則から,比率は100%以下が望ましい。
負債を自己資本より超過させないことが健全経営の基本であるの 負 債 比 率
で,比率は100%以下が望ましい。
企 業 債 料金収入の中で企業債償還額の比率を表したもので,比率は低い 償 還 元 金 ほど良好である。
料金収入の中で企業債利息の比率を表したもので,比率は低いほ 企 業 債 利 息
ど良好である。
企 業 債 元 利 料金収入の中で企業債元利償還額の比率を表したもので,比率は 償 還 金 低いほど良好である。
料金収入の中で職員給与費の比率を表したもので,比率は低いほ 職 員 給 与 費 ど良好である。職員給与費は,一般職職員で損益勘定支弁職員の
給料及び諸手当の合計額で計算している。
最大に対する平均の割合を示すもので,施設の利用度をみるもの
負 荷 率
である。
配水能力に対する平均の割合を示し,施設の利用度をみるもので 施 設 利 用 率
ある。
配水能力に対する最大配水量の割合を示し,この率が極端に低い 最 大 稼 働 率